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第3章 街の闇

「さて、邪魔者もいなくなったことですし、いきましょう。……私の城へエスコートしますよ」

領主はゴーレムと娘を連れて、街の中心へと歩み始める。
その背中が見えなくなったころ、前に立っていた二人の会話が聞こえた。

「かわいそうになぁ」

「ああ。去年は、酷かったからな……」

前で話す二人に、エメは思わず話しかける。

「あの」

「ん、何だにいちゃん。見ない顔だな」

「僕は旅の者でして……今のは、何なんですか?」

「ああ……あの領主様はな、18になる女性を
その誕生日に自分の城へ連れていくんだ。」

「二日目の昼ごろ解放されるのさ」

「そうですか……2日も、何をするのでしょう?」

「さあな。何をされたか、行った娘達は誰も口を開かないから」

「ただな、にいちゃん。大きい声では言えないが……」

髭をはやした男性が、顔を寄せ、小声で話した。

「……去年、城へ召喚された娘は、帰って来たとき大変だったんだ。よだれたらして、目もうつろでな。
廃人みたいだったよ。」

「……なるほど」
おじさん達の話を聞いて、
この街のルールを理解したエメ。

「でも、自分から望んで帰ってこない娘達もいるんだよな」

「って。にいちゃん。どうした怖い顔して」

「いえ、なんでもありません。ありがとうございました。」

エメは記憶を整理しながら、広場を後にした。






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