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第3章 街の闇

食事を終えたあと、ミーシャは食事のかたずけを終え、コーヒーを入れた。

「はい」

「ありがとう」

ミーシャがイスに座る。
依然、少し不機嫌なままだ。

「そう言えば今日、レブロさんちのゴーレムを治してきた」

「え、あの巨人さん?」

「そうだね」

「治ったの?すごい!……昔、遊んでもらったことがあるの。巨人さんに」

「へぇ」
エメは脳内に浮かぶ、美しい光景に笑顔になる。
エメは続ける。

「それでさ、お礼にってこれ」
バックをごそごそしたあと、木の箱を取り出す。

「なあに?」

木の箱を開け、中から黒く光る石のついたネックレスを取り出す。

「わあ、キレイだね」

そしてエメはバックからカンを取り出した。
不思議そうにミーシャは聞く。

「……?それは、ピムを治してくれた時に使った……」

「そうだよ。ちょっと待ってて」

カンを開け、ペンのような物でまた手に何かを書き始める。
ピムを治した、あのときのように。

そしてネックレスを握ると
手の中でネックレスが目映く光った。
指の間から漏れる光に、ミーシャは少し眩しそうにした。
ゆっくりと、光が収まる。

「これでよし。ミーシャ、これを君に持ってて欲しいんだ」

ネックレスをミーシャに渡す。
見た目はなにも変わっていないことを、ミーシャはしっかりと確認した。

「何をしたの?今のは修理?」

「いや、ただのおまじないさ」

ミーシャは唇を尖らせる。
「ふーん」

そして、ネックレスを首にかけた。

「ありがとう。似合うかな?」

「ああ、とっても」

「うふふ、ありがとう」


彼はレブロにこれをもらった時からすでに、ミーシャにあげようと思っていた。

この石は、エメが持っていても意味をなさないものだったからだ。

ただ、明らかにミーシャの機嫌が治ったことはエメにとっても良かったといえる。





(何となく……わかっているんだ。君の機嫌が悪くなった意味も。
でも、……僕の旅は終わらない。この街が歪んでいても……僕は僕の意思で関わってはいけない気がするんだ……)

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