テキストサイズ

eme

第3章 街の闇

領主は、前領主の父が亡くなり、なるべくして領主になった。
母は早くに病気で亡くなっている。

彼が座る机には、両側に美女が二人立っている。
服装は白て黒。
下着に近いものにレースのスカート、ネグリジェのようなひらひらとした飾りが至るところに施してある。

二人は身の回りの世話人のようだ。

部屋は20メートル四方ほどで、領主の趣味のものが色々と飾られている。

領主が書類をまとめていると、ノックが聞こえる。

――――コンコン

「入れ」
書類をまとめ、机の端にやる領主。

大きな扉が開くと、領主のお付きの小柄な男性が入る。
「領主様、やはり噂は本当でした。あの小僧、相当な技術者ですよ」

領主は眉毛を八の字にしたが、口は笑っている。
「そうですか、それはよくないですねぇ」

「どうなさるおつもりで?」

「そうですね……そのエメというゴーレム技術者、どこに宿泊しているのです?」

「それが……」

小柄な男は顔をよせ、こそりと耳打ちをした。
領主は目を大きく開く。
「そうですか!ははははは!……そうだ。面白い事を考えましたよ!」

領主は机の上のメモになにかを書き込み、それを黒い方のお付きの娘に渡した。

「褒美は、いつもの三倍だ」

娘は顔を赤くしたあと、ペコリと頭を下げ、部屋を出た。

そして、小柄な男に耳打ちをする。聞いた男はニヤリと笑った。

「分かりました。では早速」

小柄な男は部屋を出る。

「……さて、楽しみですねぇ……」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ