テキストサイズ

eme

第4章 変革の代償

エメは、ミーシャとゴーレムの関係を見るたびに、自分が学んできた事が正しいのだと確信した。

「あ、そうだ」

ミーシャは胸元に手を入れ、チェーンを引っ張りネックレスを取り出す。

「見て、レブロさん」

キラリと黒く光る石。レブロには見覚えがあった。

「おお、それは……エメ君に、もらったのかね?」

「そうでーす。私、初めて男の子にプレゼントもらったの」

ふふふ、と可愛らしく、嬉しそうに笑うミーシャ。

「よく似合っておるよ」

「本当に?ありがとう!」

ミーシャは大事そうにそれをまた胸元に直す。満足したのか、
そのあとまた、巨人ゴーレムと遊び始める。

「……時に、エメくん。わしは一つ、気になっているのじゃが」

「はい」

「君はどんなゴーレムも治せるのかね?故意に壊されたゴーレムは治せないと聞くがの」

「……はい。時間により劣化したものは治せますが、事故や故意的に破壊されたものなど、時間意外の壊れ方をした場合、基本的に治せません」

「そうなの?」

ゴーレムと絡んでいたミーシャが割ってはいる。

「うん。ゴーレムは元の術式が分からないと治せない。それと……僕は先生にも、故意に壊された物は治すな。と言われています」

「どうしてじゃ?」

その疑問は当然のものだ。ゴーレムを治して困る者などいるはずもない。

エメは優しい目をして口を開く。

「……それは……技術者達の、祈りだと聞いています。故意に壊しあったり、彼らを争いに使って欲しくないからです」

「そうなのか……なるほどのぅ」

レブロがまた、ゆっくりと椅子をゆらす。
ミーシャは小さく何度もうなずいていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ