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第4章 変革の代償

エメはしばらく屋敷の周りを見て回った。
それだけでも三時間はかけただろうか。
入れそうな所はなく、分厚い壁で周囲を固めていることを知る。

(……入り口まで帰って来たな。入り口にはゴーレムが二体と門番が一人。あの門番は伝令用だろうな……忍び込むには……)

遠目に見ていると、後ろから誰かの気配がした。
振り替えると、そこには黒い服を身にまとった女性が一人。
胸が強調されるようなワンピースは
膝下ほどのひらひらとしたスカートが特徴的だ。

―パチリと目が合う―
女性が口を開いた。

「屋敷の探索は終わりましたか?」

エメは驚いた顔をしたあと、スッと目を据える。

「……君は?」

「領主様から伝言です。
娘の約束の日を早めた。君が私のために働くのであれば、娘には何もせず返してあげよう。
……とのことです」

(早めた。ということは、帰ってもミーシャは居ないだろう。そして、領主は今までも技術者を集めていた。僕もその範疇、というわけだ)

エメは今までに見たことのないほどの怒りの表情を見せた。

「なるほど。……やってくれるね」

エメは大きなため息をついたあとには、もういつもの表情に戻っていた。

「僕は美しいものが好きだ。残念だけど、
君のもとでは働かないよ。そう伝えるといい」

「わかりました。ではそのように」

黒い服の女性は屋敷の門へと歩いていく。



エメは帰路を急ぐ。

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