eme
第4章 変革の代償
エメはピムの破片を集め、片膝を地面について手をかざした。
眩い光と共に、破片はピムの形を形成して行く。
巨人のゴーレムと同じように復活したピムはあたりを見渡した。
そして、エメを見上げる。
「もっ」
「戦いは終わったよ。よく頑張ったねピム。
___さて」
エメは立ち上がった。
「レブロさん、ピムを見ててあげてください。」
「___エメくん。」
レブロは杖をついて立ち上がり、エメに歩み寄る。
残された椅子が揺れる。
「___行く気なら、やめておきなさい。君がとても力持ちなのも、賢いのもよく分かる。ワシのゴーレムを治すとき、持ち上げていたものな。
でも、今回のこれは仕方のないことなのじゃ。
エメくんまで傷つくのをワシは見たくない」
レブロはつづける。
「君はあまり表情を変える方ではないが、今の君はとても冷たい表情じゃよ。ワシは心配でならんのじゃ」
エメは反省した。自分は表情が硬い。理解してはいたが、たしかに。
今の僕は酷く冷たい目をしていたかもしれない、と。
「大丈夫ですよ、レブロさん。
僕から押しかけたりはしません。
レブロさんのおかげで、あとはミーシャ次第ですから」
そう。領主が何をしているか、結局エメは分からないのだ。
酷いこと、と言っても女性を五体満足で返してはいる。もしかしたら、あまり酷いことではないのかもしれない。
レブロは自分のおかげと言われて、首を傾げる。
「___なので僕は、準備をしておくだけです」
そう言ってにこりと微笑んだエメは、ゴーレム2人とレブロを残し、海の方へと歩いていった。