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eme

第1章 漂流

「おお」

エメは声をもらす。

目の前に建物が広がった。
民間やコンクリート作りの、
高くて二階建てだろうか。
その集合が、山を作っていた。
ミーシャの家は、海側にある。

見上げるように建物が並ぶ。

「この街は丸い形をした大きな島なの」
ミーシャは続ける。
「まん中には領主様がすんでいるの」

「あの、上にのびてる城みたいなのだね」

「そうよ」

ミーシャの言う島のまん中は、ちょうど
建物の山の山頂にあたる。

その城に、とても大きなゴーレムが見える。
きっと街のどこからでも見えるのだろう。

大きなゴーレムの肩には、
海側にあるミーシャの家からでも分かるほど
大きな大砲がついていた。

「ゴーレムに守られる街、シュトラウス……か。
あのゴーレム、興味深いな。特にあの大砲。
弾はなんだろう。土か?モルタルか?セメントか?どこまで届くのだろうか……」

「そんなんじゃないよ!」

ミーシャがエメの独り言を遮る。
一瞬、怒りの表情が見える。

「表ではたしかに守られてるかもしれない」

エメはどういう意味かわからない、という
表情をする。

「街を見てまわればわかるわ」


「あの大砲は、島の外までちゃんと飛ぶらしいわ。見たことは無いけど」

「それはすごいな。ゴーレムの形も屈強な戦士
だし。……美しい」

「変な人」

「僕はゴーレム技術者だからね」

「そっか」

妙に納得してしまう、言葉の力を感じるミーシャ。

「さ、次は市場にいってみよ。ピムもおいで」

「もっもっもっ」

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