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eme

第1章 漂流

市場は、エメの想像以上に栄えていた。

活気に満ち満ちている。

ずらりと左右にならぶ
さまざまな店。

「ここに来れば大体のものは揃うわね」

ちらほらとゴーレムの姿も見える。
ゴーレムは重たいものを移動したりする作業用。
ピムのように哀願用。
大体がこの二つに分けられる。

基本的な術式と土で、技術を身につければ
ある程度は造ることができる。

ただし治すとなると話しは別だ。

術式を数パターン入れて造るゴーレム。
それを治すには、その使われている術式を
理解しないといけない。
でなければ元に戻らず、形を似せた
全く違うものができてしまう。

市場を歩いているとよくミーシャは話しかけられた。

「お、ミーシャ!今日もかわいいね!
安くしとくよ!」

「ありがとう!でも今日は買い物じゃないの。
街の案内をしてるの」

「カッカッカッ!デートか!そりゃ悪いな!」

「ちょっ!!そんなんじゃないってば!」

「よう、白い髪のにーちゃん!
ミーシャをしっかり守ってやれよ!」

「は、はぁ。」

ただし、何故か違う空気の人もいる。

ひそひそとミーシャを見て何かを話している。

「あの子……今年18になる子よね?
かわいそうに……」

エメにはそう聞こえた。

二人の子どもがピムに近づく。

「よっすピム!!……ん?ピム?なんだか綺麗になったか?」

「なんでピムを口説いてんだよ!」

ピムを女性のように扱うことに
子どもはツッこんだが、
本当に綺麗になっていることに気づく。

「……あれ、ほんとだ」

「ピム。誰に治してもらったんだ?」

ピムは「もっ」と言いながら
指のない手で真っ直ぐエメを差す。


エメが気づいた時には遅かった。
エメにゴーレムを治してほしい人が押し寄せる。


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