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すきってきもち

第1章 デアイ





わぁ、どうしよう
1度会社に戻るべきかしら


アプリの地図が指す場所と
私の現在いる場所は近いけれど……


はぁ……やっぱり迷子

恥ずかしいな
会社から徒歩30分ってあまり遠くないのに


確かに見覚えのある道を辿ってきたのに

どこで間違ったのか、見知らない場所でひとり



右も左も分からず、心が折れそう


焦りすぎて、アプリの地図も
よく分からないページをひらき始めた

バック何気に重いし……
少しの靴擦れがなぜか情けなく感じて泣きそう


なにやってるだろう、いい歳して

頼りにできなくなった携帯をポケットに入れて
辺りを見渡す

困ったことに自分がどこから来たのかも
分からない


涙が落ちそうになって
鼻をすすった瞬間

ドンッ!
「ごめんなさい、私がキョロキョロしてたから……
おケガないですか?」


誰かとぶつかってしまったよう
見知らぬ人にまで迷惑かけるなんて

時間も迫ってるのに……


「だいじょ……ぶ、、、っ!!」





.




_________百合さん!?

「百合さんだよね?覚えてる?」
戸惑いつつ顔をあげると
「レイさんっ!」


「どうしたの?泣きそうな顔して、大丈夫?」
「はは、迷子になっちゃったの
それよりレイさんは本当にケガしてない?」


大丈夫と可愛く笑って
私を安心させてくれる

あ、、、

あの日みたいなスーツ姿じゃなくて
ぶかぶかのパーカー

私服まで可愛いんだ
「ふふ、可愛いね」



さっきまでの不安な気持ちが少しだけ和らいだ

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