テキストサイズ

KIND KILLAR

第7章 What you see in your eyes

いつからだったろうか。



こんな風に恋人みたいな会話をするようになったのは。



くすぐったくて、心があったかくなるような言葉。



どれをとっても、オレがカミヤマさんに惹かれる要素しかなかった。






K『トモくんはさ、なんでこの仕事、はじめたの?』



3回目の来店の時だったろうか。



そんなプライベートに立ち入った質問をされた。



他の客から聞かれた時は、『ヒミツ。』とかなんとか言って逃れてたのに、カミヤマさんには馬鹿正直に話した。






両親を殺した奴が憎いこと。



ソイツに復讐するために、殺し屋、という職業をはじめたこと。



ケンちゃんや、ノリユキさんは、情報転売屋を紹介はしてくれるものの、それ以降は守備範囲外だから、情報を手に入れるためには金が必要になること。



そして、その金額は、殺し屋の給料だけじゃ足りないものだということ。



どうしても諦められなくて、この世界に入って、金を稼いでいること・・・。



K『トモくん・・・。』



少しゴツゴツしたカミヤマさんの手が、オレの頬に伸びてきて、何かをぬぐった。



O『オ、レっ・・・。』



話しているうちに、いつのまにか頬に暖かい涙が伝っていた。



泣くのはいつぶりだろうか。



両親が死んで以来、かも。



この涙の理由は、自分が一番わかってるんだ。



O『オレっ・・・、オレ、自分が一番憎いんです・・・っ。とーちゃんとかーちゃんを殺したのは、オレ同然だ・・・っ。』



そう、ホントはわかってた、けど認めたくなかった。



もし、アイツを見つけ出して、殺しても、何も満足しないだろうことは。



だって、オレが本当に憎んで、殺してしまいたいのは、オレ自身だから。



K『トモ・・・。』



O『ふっ・・・んんっ。』



カミヤマさんは、慰めるようにオレの額にキスを一つ落とすと、優しく語りかける。



K『俺は、トモが好きだよ。本当は、優しくていい子だ。自分を好きにならなくてもいいけど、トモのことを好きなやつはここにいるから。』



優しい言葉を人から久々にかけられて、心があったかくなった、



と同時に。



彼への恋が芽生えたのを感じたんだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ