
KIND KILLAR
第9章 Love me gently?
S side
J「遅い。」
OS「さーせんっ!!」
智くんと2人で謝って、車に乗り込む。
O「相葉ちゃーん!!うぇい!」
A「リーダー!!うぇーいっ!!」
そうやって雅紀とハイタッチする智くんの横顔を見つめる。
穴が開くんじゃないかってくらい、見つめる。
それでも、何を考えているのか。
まったくわからなかった。
S「はぁ………」
N「なに?結局、仲直り?できなかったの??」
俺の溜息にいち早く反応したニノが、こそこそと聞いてくる。
S「いや、まぁ、ね。」
そうやって答えを濁すと、聡いニノは、それ以上探索してこなかった。
朝、なにごともなかったように抱きつかれたとき。
平静を装ってはいたけど。
内心では、ドキドキと速く打つ心臓の音が彼に聞こえないかどうかばかりを気にしてた。
抱きしめ返したかった。
おはよ、って甘く囁きたかった。
でも、しなかったのは。
好きになっちゃ、いけなかったんだ。
これ以上、好きになっちゃ、いけないんだ。
って、思ったから。
昨日の夜に、明かされた過去は。
初めて会った時に聞かされた、あの過去に更に暗い影を落としたもので。
神様は残酷だ、と。
そう思った。
でもそのすぐあとに。
何より残酷だったのは、俺だ、と。
気づいたんだ。
生半可な愛情を押し付けて。
ズカズカと智くんの心に土足で乗り込んで。
このままじゃいけない。
だから。
S「なぁ、潤。」
J「ん?」
S「可愛いくて、巨乳の黒髪美人とか、紹介してくれねぇ?」
運転席の潤に向かって、そう問いかけた。
