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KIND KILLAR

第9章 Love me gently?


S「・・・じゃあ、俺はどうすればいいんだよ。」



ぽそ、と小さくつぶやくと、威勢がよかった潤も、雅紀も、ニノも。



みんな押し黙った。



この人の涙を優しく掬うのが正解だっていうのか?



俺の勝手な生臭い愛情を押し付けて?



無垢に友情を育んでくれてるこの人の優しさを、踏みにじれってか?



できないよ、そんなの。



そんな身勝手なオトコにはなれない。



4人を睨みつける俺。



睨み返してくる潤。



きゅ、と両手を膝の上で握りしめるニノ。



静かに、涙をあふれさせる智くん。



その背中をさする雅紀。



その緊迫した空気を破るように、リムジンが見慣れたビルの前で止まった。



全員が事の成り行きを見守ろうとするかのように、身動ぎもしない。



S「じゃあ、」



口火を切ると、ばっと皆が俺を見つめる。



S「・・・そゆことで、よろしくな、みんな!!さ、仕事仕事♪」



にこっと営業スマイルを見せると、すべての瞳が俺を責めるように鋭くなった。



そこから逃げるように。



・・・・・・特に、昔からなんでも見抜いてしまう、カレの瞳から逃れるように、ドアに手をかけると。



O「また、閉じこもるんだ。」



・・・やっぱり離れさせてくれなかったか。



S「・・・・・・。」



俺が逃げないのをわかってるみたいに、やんわりとつかまれた指をたどると。



悲しげだけど、凛とした目をした智くんがそこにいた。

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