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KIND KILLAR

第9章 Love me gently?


S「なんのこと?」



しらばっくれて、小首をかしげると。



O「ほら、またそーやって笑う。・・・・・・『ババくさいよ?』」



S「・・・・・・っっ!!」



呆れたようなその笑顔で。



出会ったあの日がフラッシュバックした。



その瞬間、懐かしさと、智くんと過ごした日々への愛おしさで、おもわず。



意地でもかぶり続けようとした化けの皮が、はらりと破られて。



S「ご、めんっっ・・・!!ごめん、さ、としくん・・・。」



気づいたら、彼の綺麗な指にすがりついて、涙をこぼしていた。



そんな俺らを困惑して見つめてた3人は。



J「あー・・・オレら、とりあえず出るわ。」



M「お邪魔虫・・・っぽいしね。」



N「大野さん。だいじょーぶ、なんだよ、ね??」



こくんと頷いたのを合図に、安心したように車から降りて行った。



O「さ、て。」



それを見送って、智くんは俺に向き直った。



そして、真剣な声で。



O「なんであんな嘘言ったの?」



そう尋ねてきたから。



S「・・・怒ってないの?」



質問に質問で返した。



俺が質問に答えないのを、悟ったのか。



智くんは、ふ、と笑って、窓の外を見つめると。



O「・・・嫌われた、って思った。」



そう言った。



整った横顔を俺に向けたまま、智くんは続ける。



O「翔くんには、支えなきゃいけない人がたくさんたくさんいて。・・・多分その中で、オレは邪魔だって思ったんだろうな、って。」



S「ち、が・・・。」



俺の否定を聞いて、その視線は、通勤する俺の部下たちから俺に移された。



O「うん。翔くんがオレの方見たときに、違うってわかった。あ、嫌われてねぇや、って。」



S「え・・・。」



まさか、この気持ちが、ばれた?



急に鼓動がうるさいほど身体に響き始めた。



あり得る。今日の智くん、えらく察しがいいし。



そんな俺の脳内会議に、気づいているのかいないのか。



O「翔くん優しいから、オレに、出ていけなんて言えないもんね。昨日のごめんも、今日の、女の子がどうこうとかも、オレが翔くんのこと嫌いになるようにしむけてたんでしょ?」



S「ん?」



なんかちょっと、誤解されてる・・・?

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