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KIND KILLAR

第2章 I want to know you


そして、その日の晩。



「たしか、このへんなのよね・・・。」



新しいアパートが見つからなくて、暗い路地をうろうろする。



かーちゃんに地図を任せたのが間違いだったのかもしれない。



どんどん路地の奥に入っていって、抜け出せなくなっている気がする。



しかも、アパートとアパートに挟まれた路地の端にはホームレスらしき人々が座り込んでいて・・・。



O「とーちゃん・・・このへんちょっと危なくない??」



「なんだ、ビビってんのか、智。大丈夫だよ。なんたってここは世界の中心だろ?俺たちなんかが、襲われるわけないよ。」



呑気にとーちゃんが言ったその時だった。



端に座っていたホームレスの1人が立ち上がって、こっちに向かって来たのが見えたんだ。



歳は分からないけど、まだ若そう。



クスリをやっているのか、口の端から涎を垂らし続けている。



「あの・・・何か?」



余裕ぶっていたとーちゃんも、流石に危ないと思ったんだろう。



眉を潜め、オレとかーちゃんの前にまわった。



そんなとーちゃんの呼びかけにも全く応じず、オトコはユラユラ揺れながらポケットに手を突っ込んだ。



そして、その次の瞬間。



オトコは今までの動きからは想像できないくらい素早く動きだした。



そして、とーちゃんの元に走っていったんだ。



O「えっ、なに?何なの?」



オレの間抜けな声が響いた。



その数秒後。



とーちゃんの身体からどす黒い液体が、滴ってくるのが見えた。

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