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KIND KILLAR

第2章 I want to know you

「さっき言っただろう?あいつを殺せる、って。」



そうだった。



無理やり担がれて、飯を貰ってすっかり忘れていたけれど、そんなことがあったんだ。



O「その・・・殺せるってどういうことだよ。」



「お!気になってきた?いいねえ。」



そう言うとオトコは、オレの方を向いて、生き生きと喋り出した。



「俺は、殺し屋を教育してる事務所のスカウトマン。まあ、ケン、とでも呼んで?」



O「はあ・・・。」



ケンの話によると、社長レベルの富豪になると、恨み妬みで、狙われることがあるらしく。



殺し屋は、その社長を守ったり、場合によっては、狙ってきたヤツらを殺すのが仕事らしい。



それだけじゃなくて、クライアントに命令されたら、ライバル会社の人々を殺すこともあるそうで。



「もし、俺の事務所に所属したら、殺しの技術、銃の使い方、気配の消し方、情報の盗み方・・・なんでもしれるよ。」



O「だからって、そんなことするわけねぇだろ!?」



そうだ。



あやうく流されるところだった。



殺し屋なんて仕事、オレには向いていない。



人が苦しんでるのを見るのなんて、絶対に嫌だ。



また両親の最期を思い出して胸が軋む。



「でもさ、ご両親を殺したあいつを、苦しめる機会なんかそうそうないよ?」



O「っ・・・。」



オトコは、痛いところを突いてきた。



たしかにそうだ。



俺1人じゃあいつを見つけることさえできないだろう。



「俺らなら、あいつの住所だって、なんだって調べられる。捕まえたら、どうしようがキミの勝手だよ。」



オトコは更に続ける。



「あいつがご両親にしたように、ナイフで殺したっていい。拷問したっていい。」



「・・・そんなこと、しない。」



ケンの口車に乗せられないように、声を絞り出した。



でも、またケンはオレの心をくすぐる。



「おかしいと思わないか?この世の中。どこの馬の骨ともわからないやつに、人生が滅茶苦茶にされてる人もいれば。それを指示してるやつがいるかもしれない。」



ほっ、と息を吐き出して続ける。



「俺たちが殺し屋をやるのは『社長様』を守るためじゃない。世の中の不条理に対抗するためなんだよ。」

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