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KIND KILLAR

第1章 First love

ウチの中に、あるはずのない人影。



誰・・・だ?



出勤前に開けたカーテンのせいで、窓から明かりが差し込んで、顔のところがちょうど影になっている。



声や、背恰好からして、おそらくオトコ。



手には、あまり嬉しくないけれど・・・拳銃のような影。



この国なら、みんな持ち歩いているけれど、不法侵入のオトコに拳銃という要素なんて、不安しか感じない。



その時オトコが口を開いた。



「ごめんね、勝手に入っちゃって。オレ、あんたのこと殺しに来たんだけど・・・。」



少し高めの甘い声が唄うように響く。



オトコのくせに綺麗な声だな・・・っていや、そうじゃなくて。



S 「は・・・?」



なんで、俺が殺されるんだよ。



ぽっかり口を開けた俺に、オトコがまた話しかける。



「暗くて見えないや、電気つけて?」



S 「ああ、うん。って、いやいやいや!!あんた誰だよ?!俺を殺すって・・・。」



そうぼやくとキンとオトコの周りの空気が張りつめたのを感じる。



「いいから。つけないと・・・撃っちゃうかもよ?」



S 「っ・・・!!」



急に低くなったオトコの声に息を飲んで、あわてて壁にかかっているラックからリモコンを取り出す。



今はこいつを怒らせないのが、一番だ。



でも、なんでだろう。



落ち着いている自分がいる。



撃たれないような気がしている自分がいるんだ。



その訳は、パチリと照明をつけた瞬間、わかった。

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