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KIND KILLAR

第4章 Robust you

S「・・・ということなんだけど。」



頑張って要約して伝えたものの、目の前の黒いかたまりの反応は薄い。



O「んー。」



いつも出社してそうそう、置きっぱなしにしている黒いジャージに着替える智くん。



そりゃこんな格好でいたら眠くもなるわ。



猫っぽくて可愛いけど。



目をしばしばさせてるその姿はとても話を聴いているとは思えない。



S「聴いてる?智くん!!」



O「・・・へ?」



やっぱり聴いてないのかよ。



S「もう・・・笑」



ホントにこの人は笑



まあこれを許しちゃう俺が悪いんだろうけど。



そう智くんを見つめる俺の視線を気にせず、んーっ、と伸びをして、もぞもぞとジャージを脱ぎ始める智くん。



S「どっか行くの?」



自由だな笑



どうせ画材屋に行くのだろう。



その後で貴方の好きなものでも食べながらもう一回話すか。



そう考えていたのに、貴方はふはっ、と笑った。



O「その社長のとこ。相葉ちゃんは、更生しましたよー、って言ってくる。翔くんも、ニノも、まつじゅんも、仕事でしょ?」



たまに天然だよね、翔くん。と付け加えながら言う。



なんだ、きいてんじゃん。



二度手間が省けてほっとした。



クローゼットの隅から黒のタートルネックと同じく黒のパンツ、ジャケットを取り出す貴方にその会社の名前を告げる。



O「わかった。翔くんは仕事してて?」



ぱっとジャケットに予備の弾を入れて襟を直すと、不敵な微笑みを浮かべて出て行った貴方。



この時、引き止めなかったことを後悔したのは、その日の夜だった。

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