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KIND KILLAR

第5章 What is this feeling?

北館の隅っこの薄暗い美術室は、美術部の部室。



4月の部活紹介の時に、廃部寸前と言われていたのは聞いてたけれど。



いざ入部届を出して、美術部員になってみてわかった。



この部活は、寸前どころかもう廃部してるよーなもん。



オレ以外は、幽霊部員しかいねーもん。



とゆーわけで、美術室は、オレの貸切状態のアトリエと化している。



だからなのか知らないけど、翔くんはいつもこの教室に入らない。



オレのテリトリーを荒らしたくないんだそうだ。



・・・もう十分荒らされてるけどね?



でも、最近は。



O「また・・・っ。」



そんなオレのテリトリーが、誰かに荒らされている。



O「ひでぇ・・・。」



少し前に完成したばかりの風景画。



この教室から見える緑が描かれていたはずの絵は。



カッターか何かでザクザクと切り裂かれて、何が描かれていたのかすらわからなくなっていた。








こうやってオレの作品がいつのまにか壊されるようになったのは、もう二、三週間も前のことだ。



犯人が誰かもわからないから・・・正直怖い。



かといってオレが、作品を家に持って帰れば解決することだからさ?



誰にも言ってない。



翔くんが、ココに入らなくてよかった。



ぜーったい騒ぐもん、あの人。



ひとつため息をついて、その絵をビニール袋に突っ込んだ。

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