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KIND KILLAR

第6章 Repeat over and over.

O side



A「どーしたんだろね、翔ちゃん。なんかあったの?」



風をきって走り出した翔くんの後ろ姿を見つめながら、相葉ちゃんが近づいてきた。



O「さあ?・・・なんか、あったのかも、ね。」



唇をふわりとなぞると、確かにそこに翔くんの温もりを感じる。





高校生の時も、こんなことがあったよな。



未だに納得してないファーストキスからの強引なあのキス。



おまけに、初恋まで奪われたアレ。



思い出しただけで苦笑がこぼれた。



そう、苦笑、がこぼれたはずなのに。



A「ちょっ!?え!?リーダー!!??どうしたの!?涙っ・・・!」



O「・・・え?」



頬を触ると、雨だけじゃなくて涙もこぼれてた。



なんで、オレ泣いてんだ?



前に涙を流したのはいつだったっけ。



あ。わかった。



O「キス、か。」



A「へ?」



心配そうな顔を向けてくる相葉ちゃんに、薄く笑って



O「ちょっと思い出しただけ。」



と言うと、ハッと目を見開いて悟ってくれた。



何も言わずに、オレの手をとって、『行こ。松潤待ってるから。』と誘導してくれる。



でもまあ、



A「・・・あのコト、翔ちゃんに言ってないんでしょ?」



心配症の相葉ちゃんだもんね。



おそるおそる声をかけてくれた。



O「言える時がきたら、ね。」



オレだって言いたいよ。



言いたいけど。



O「オレは、弱いから。」



翔くんに言って、嫌われるのがこわい。



こわいんだよ。



ホントはさっき翔くんが言った言葉も聞こえてたんだ。



『好きだよ。』って。



でも。



でも・・・。



A「翔ちゃんは、受け入れてくれると思うよ?」



O「そう、だろうね。」



受け入れてはくれるだろうけどさ。



翔くんみたいな人と、オレはかけ離れてる人間なんだよ。



でも、本当はあのキスでドキドキしてた自分もいたのが一番怖い。



オレの想いが、翔くんの負担になるんじゃないかって。



だから、やっぱり。



O「時が、きたら、ね。」



その時はくるのか。








オレにもわかんないけど。

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