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今日も明日も 2nd season

第9章 見えない鎖 part ⅩⅠ


辺りを窺うように話していた先輩が、“よし“ と小さく呟いた

そして
『とりあえず、あいつはそこを離れた。今から出てこい』
早口で、俺に捲し立てるように告げる

「え?」

『とにかく玄関開けろ。待ってるから』

先輩の言葉に従って動こうにも、かずくんを何とかしなくちゃいけない

「…あの、かずくんが……」

俺が言葉に困っていると、すぐに先輩は “分かった“ と通話を切った

そして

控えめなノック

チャイムを敢えて鳴らさないのは、先輩のかずくんへの配慮だ


とは言え、さっきの事があるから
離れないかずくんを抱き締めたまま玄関に向かい

念のためドアスコープを見て確認してらドアを開ける


「相葉……」
かずくんを抱えたままの俺に、先輩が小さく笑った

「先輩、ごめんなさい。荷物お願いしていいですか?」

さすがにかずくんを抱えて、荷物は持てない


「だから来たんだよ、バカ」

そう言って、ツカツカと中に入った先輩が置いてあるボストンバッグを手に持ってきた

「これだけ?」

「はい」

「…急ごう」

先輩に言われるままに続いて出ようとするけと
、かずくんがしがみついて進む事が出来ない

いくら軽いとは言え、引き摺るのも……

そう考えるとどうするかなんて、答えは1つしかなくて

脇と膝下に腕を潜らせ、ひょいとその身体を抱き上げた

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