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風鈴の夏

第2章 俺と使命

つまり、この子は俺がトラウマを克服したいという願いを聞いて俺を過去に送ったということらしい。
俺が振り返るともう男の子は消えていた。

「さてと…」

目的は分かったがどうすりゃ良いか。
いきなり5歳の俺に会って夏祭りに行くのを止めるのも不審がられるし、かと言って何もしないわけにもいかない。
いや、夏祭りに行くのは良いんだ。
要は俺を迷子にしなければ良いってことだ。
しかしなぁ…
尾行するのもリスクがあるし、適当に祭りに行って俺を見つけることは出来るのかな?
ロクな方法が思い付かない俺は仕方なくアナログな方法を取った。 
つまり、祭りに行って探し回るという方法だ。
俺はなんとか記憶を頼りに歩き回る。

「そう簡単に見つかるわけ無いか…」
 
神社の鳥居のところに来たときだった。
何だか視線を感じ、振り返ると青い浴衣を着た幼稚園児ぐらいの少年が俺を見つめていた。
一目で分かった。
15年前の俺自身だ。

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