愛するあなたよ、この手を離さないで
第1章 この手を離さないで
噂で聞くと、密閉された部屋に誘導されて苦しい罰を受けるらしいようだ。
そして、そこから生きて帰って来れた者はいないと。
つまり死が待っているということ。
『1』にならない限り、私ももうすぐこの世から消されてしまう。
後ろの壁に設置されているモニターに映し出されているのは、私を選んだ人の数の『0』。
そして、『残り03:00』とこの命が処分されるまで残された時間。
毎日この数字を眺めていた。
薄汚れて何の魅力もない私。
だけど、大好きな彼にまた会えることを夢見ている。
その夢だけが私の生きがいだった。
弱い物は不味い飯を食べずに餓死して、生きること自体から逃げる奴もいる。
でも私は最後の最後まで生きることを諦めない。
――――……