愛するあなたよ、この手を離さないで
第1章 この手を離さないで
――――……
もう5年前にもなる、僅かな幸せの思い出。
何日も帰って来なくなった廉を探しに行こうと家を出たら、見知らぬ男達に捕まってここに連れてこられた。
待っていたのはこの暗黒の日々。
鉄の柵の間から逃げようとしても、幅が狭過ぎて通れない。
左右と後ろは硬い壁、おまけに床はコンクリートで冷たい。
おかげで手足はいつも冷えきっている。
どうしてこんな場所に連れてこられたんだろう。
私は誰かに危害を加えていない。
なにも悪いことはしていないのに。
生きているだけで悪者と見なされる。
まるでこの世は地獄のようだった。
ここ施設のヤツらを恨み、この世界の在り方を憎んだ。
バタンッ――
ぼんやりと考えていると、また誰か連れていかれたようだった。
柵の向こう側に視線を向けると手を伸ばすと届きそうなところにキラリと光った鍵が落ちていた。
もしかして、あの鍵を拾えばこの扉も開けられる?
檻から出れば廉に会うことができる……!
今は監視がいないから、絶好のチャンスだった。
「んー!」
柵の隙間から手を伸ばそうとする。
しかし、手錠が引っ掛かって手のひらを出すくらいしかできなかった。
だったら―ー
何度も壊すように手錠を鉄柵に打ち付けた。
衝撃と摩擦で回数を増やす事に腕の周りが血で染まっていく。
ジンジンとする痛みにも気にせず手錠を壊すために打ち続けた。
それでも……手錠は壊れなかった。
もう5年前にもなる、僅かな幸せの思い出。
何日も帰って来なくなった廉を探しに行こうと家を出たら、見知らぬ男達に捕まってここに連れてこられた。
待っていたのはこの暗黒の日々。
鉄の柵の間から逃げようとしても、幅が狭過ぎて通れない。
左右と後ろは硬い壁、おまけに床はコンクリートで冷たい。
おかげで手足はいつも冷えきっている。
どうしてこんな場所に連れてこられたんだろう。
私は誰かに危害を加えていない。
なにも悪いことはしていないのに。
生きているだけで悪者と見なされる。
まるでこの世は地獄のようだった。
ここ施設のヤツらを恨み、この世界の在り方を憎んだ。
バタンッ――
ぼんやりと考えていると、また誰か連れていかれたようだった。
柵の向こう側に視線を向けると手を伸ばすと届きそうなところにキラリと光った鍵が落ちていた。
もしかして、あの鍵を拾えばこの扉も開けられる?
檻から出れば廉に会うことができる……!
今は監視がいないから、絶好のチャンスだった。
「んー!」
柵の隙間から手を伸ばそうとする。
しかし、手錠が引っ掛かって手のひらを出すくらいしかできなかった。
だったら―ー
何度も壊すように手錠を鉄柵に打ち付けた。
衝撃と摩擦で回数を増やす事に腕の周りが血で染まっていく。
ジンジンとする痛みにも気にせず手錠を壊すために打ち続けた。
それでも……手錠は壊れなかった。