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笑い、滴り、装い、眠る。

第7章 雨の日は家にいて



「あの…翔くん?」



あれからの僕らは頻繁に会うようになっていて、



翔くんは工房だけではなく、僕の家にも訪ねて来るようになっていた。



翔「何?」


「大丈夫…なの?」



僕の言葉の意味を汲み取った翔くんは瞬間顔を曇らせたが、笑顔で「大丈夫」と、僕を抱き寄せた。



「ならいいけど…」



こうして翔くんと会えるのは嬉しい。



でもその分、カズくんとの時間が減っている筈だし、



今は、自分が優先されている優越感より罪悪感の方が大きかった。



翔「ね…それよかお腹すかない?」


「何か作ろっか?」


翔「うーん、大野さんの手料理も捨てがたいけど、たまには外で食べない?」



出かける準備をしようと体を起こす僕の体が引き戻される。



翔「でも、その前にもう一回…」


「しょ……んっ」



組み敷かれた僕の唇を翔くんの唇が塞ぐ。



でも、どちらかの携帯の鳴動する音で僕らは、弾かれたように体を離した。



「僕の携帯だ。」



慌ててベッドから飛び降り、鞄の中から携帯を取り出した。



電話の相手は、以前、プロポーズ用の指輪を注文してくれた人。



「はい…はい…分かりました。ありがとうございます。では、失礼します。」


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