笑い、滴り、装い、眠る。
第7章 雨の日は家にいて
急な仕事が入ったことで、僕は関係業者に急ぎ連絡することになってしまって、
あとで合流することにして、翔くんには先に行っててもらうことにした。
「ごめんね?すぐに追いかけるから。」
翔「分かった。」
肩を抱き寄せ、軽く触れるようなキスをした。
「なんなら先に食べててもいいよ?」
翔「そうなんだよなあ。俺、あんなに大野さんをゆっくり味わって食べたつもりだったのに、もう腹ペコなんだよね?」
「…もう!翔くんてば!/////」
翔「ごめんごめん。じゃ、先行くね?」
笑いながら逃げるように翔くんは部屋から出ていった。
「しょうがないなあ…」
そう独りごちりながらも、顔がにやけてしまう。
この時の僕の頭の中には、
カズくんのことなど欠片もなくて、
だから…まさか…
「お待たせ。」
翔「あんまり遅いから先に食べちゃったよ?あ、ドリンクは二人分、注文しといたけど。」
「あ、ピザだ!!」
翔「食う?」
「食う食う!!」
はい、あーん、と、
翔くんは僕の口に一切れ咥えさせた。
「うん。おいひい!」
翔「…ついてる。」
「え?どこ?」
辺りを見回した後、顔を近づけきた翔くんは僕の唇の端についたソースをペロリと舐めた。
「ちょ…翔くん!!」
思わず翔くんの体を押し退けた。
翔「誰も見てないじゃん?」
「そういう問題じゃないの!」
まさか、そのカズくんに二人でいるところを見られていたなんて……
翔「そんなに怒んないでよ?…て、どこ行くの?」
「の…飲み物とってくるの!!」
…思ってもいなかったんだ。
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