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笑い、滴り、装い、眠る。

第7章 雨の日は家にいて



あの夜を境に翔くんからの連絡はプツリと途絶えた。



突然、泣き出した僕が重たくなって、僕に愛想をつかしたのか、とか、



もしかしたら、



僕との関係がカズくんにバレて、連絡しようにも出来ないのかも、とか色々考えたけど、



自分一人であれこれ考えても所詮は憶測の範疇でしかないし、それに元々僕が、二人の間に割り込んだワケだから、



翔くんとの関係が自然消滅したところで、ああだ、こうだ言える立場にない。



一際大きく息を吐き、窓の外に目をやった。



何処までも遠く青く透き通るような秋空。



いい天気だな…。



手を止め、果てしなく続いているであろう、透明な青を目で追いかける。



しばらくの間、ずっと。



そうして、青の色の中に溶け込むようにぽっかり浮かんだ白い雲に、ほんのりオレンジが混ざる時までぼんやりしていた。



ダメだ、こんなんじゃ仕事にならないや。



作業用のエプロンを外し、工具やら材料やらを片付けた。



こうして、工房を出る頃には太陽は落ちかけていて、灰色の雲がかかっていた。



雨、来るかな?



上着を羽織り、バッグを手にした時だった。



小さな雨粒が一つ二つと窓に当たり始めた。



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