笑い、滴り、装い、眠る。
第7章 雨の日は家にいて
翔くんからは何があったのかは怖くて聞けなかったけど、
翔くんの憔悴しきった様子からは、カズくんと何かあったことは容易に推測できた。
翔「他に好きな人が出来た、って言われたんだ。」
「そう…」
カズくんに…?
翔「…フラれたんだ。俺。」
甘えるように、僕の胸の中に顔を埋める翔くんの髪を撫でた。
「じゃあ、慰めてほしくて僕のところに来たの?」
翔「ご、ごめん。俺…そんなつもりじゃ…」
驚いて顔を上げた翔くんが、泣き出しそうな目で僕を見た。
「別に責めてないよ?」
寧ろ嬉しい。
例え君が「都合のいい相手」としか思ってなくても、僕に安らぎを求めてくれたことが。
翔「でも、もしかしたらそれ、って、ウソなのかも…」
「何が?」
翔「カズに…好きな人が出来た、って話が。俺に愛想がつきて、別れたくて…」
それならそれでいいじゃない、って、
喉元から零れ落ちそうになる言葉をなんとか塞き止める。
「どうして…そう思うの?」
翔「カズ、知ってるみたいなんだ。大野さんのこと。」
「え?何で?」
翔「それは分からないけど、会ったことはある、って言ってた。」
どこでだっけ?
翔「あの綺麗な人でしょ?って。」
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