笑い、滴り、装い、眠る。
第7章 雨の日は家にいて
徹夜明けのある日、眠気覚ましがてらにコンビニへと足を運んだ。
早朝のコンビニは人影も疎らで、見知った顔に出会すことも滅多とないことから僕はこの時間を選んで行くことが多い。
それにこの時間はあの元気印の相葉くんがいた。
雅「あっ!!大野さんだ!!大野さん、おはよう。」
「おはよう。いつも元気だね?」
それが取り柄だから、と、相葉くんは笑った。
雅「そう言う大野さんはまた徹夜?あんまりムリすると体壊しちゃうよ?」
はい、お釣り、と、相葉くんは僕の手のひらの上に小銭を乗せようとして何かに気づいた。
「どうしたの?」
雅「何か違うな?って思ったら、爪がいつもより短い。」
「ふふっ。よく気付いたね?」
雅「だって…カズのヤツ、よく言ってたから。」
「カズ?」
雅「え?あっ!!い、いや、別に何でも…。」
相葉くんは急に顔を赤らめ、慌てて小銭を僕の手のひらの中に押し込めた。
雅「あ、ありがとうございました!!」
相葉くんの様子に訝しげに頭を捻りながら店の外に出ると、聞き覚えのある声に呼び止められた。
?「大野さん?」
声が聞こえた方に顔を向けると、親とはぐれた子犬のような目で僕を見ている男の子が立っていた。
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