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笑い、滴り、装い、眠る。

第7章 雨の日は家にいて



和「もしかして…俺に気を使ってます?」


「……。」


和「俺のことなら気にしないで下さい。」


「でも……」


和「俺、フったんですよ?翔さんのこと。」


「……。」


和「あれ?ウソだ、って思ってます?」



中々そちらを向こうとしない僕にカズくんが僕の顔を覗き込んできた。



和「自惚れないで下さい。俺、こう見えてモテるんですよ?」



確かに……



よくよく見ると色白だし、肌も綺麗だし、何よりも幼い顔立ちが女の子みたいで、僕でさえも庇護欲を掻き立てられてしまう。



和「今日、ここに来たのだって、この後、約束してるからね?」



と、アゴで店内を指し示す。



その先には、あの、相葉くんの笑顔があった。



和「確かに翔さんには俺からコクったけど…でも、俺以外の人に傾く男なんてこちらから願い下げですよ。」


「でも、翔くんはまだ、君のこと…」


和「そんなこと、俺の知ったことじゃない。身の程を知れ、ってんだ。アンタごときが俺と大野さんを天秤に掛けるなんて、百年早い、ってね?」


「でも……あの…」


和「じゃ、俺もう行くんで…。」



カズくんはゆっくり椅子から立ち上がり、カップを手にした。


そして、僕の後ろを通り過ぎたところで、あ、そうだ、と立ち止まった。



和「翔さんのことお願いしますね?あの人、ああ見えて結構引き摺るタイプなんで。」



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