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笑い、滴り、装い、眠る。

第7章 雨の日は家にいて



翔くんとはここ数日連絡はとっていない。



もちろん、LINEも。



あんなことになってから互いに連絡しづらくなっていることもあったけど、



それだけじゃなかった。



『愛されたもん勝ちですよ?恋愛、って。』



恐らくだけど、



僕の方がきっと翔くんのことが好きだ。



初めて会った時から惹かれてた。



もしかしたら、昔の恋の延長みたいなものなのかもしれない。



けれど、今となってははっきり言える。



僕の方が、翔くんが僕を好きだと思っているよりずっと好きだ。



カズくん。



どうやら僕の負けみたいだよ?



「話したいことがあるから」と、



携帯にLINEメッセージを打ち込む。



いつもだったらすぐに来るはずの返事も、何故だか次の日の朝まで来なくて、


やっときた、と思ったら、『今日、授業が終わった後で良かったら。』というものだった。



その日は、工房に籠って指輪の仕上げに取りかかっていた。



納期も間近というわけでもなかったけど、



何かしていないと落ち着かなかった。


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