笑い、滴り、装い、眠る。
第7章 雨の日は家にいて
翔「ダメだよ…そんなの。」
「どうして?」
翔「だって…向こうがダメになったからこっちにしました、なんて…大野さんがイヤじゃない?」
肩を落とす翔くんの正面に椅子を移動し、目の前に鎮座した。
「翔くん、僕、言ったよね?構わない、って。」
翔「だから…ダメだって。」
「だからどうして?」
翔「どうして、って…」
俯いた翔くんの顔を両手のひらに挟んで持ち上げる。
「はっきり言って?」
顔を真っ赤にし、唇を尖らせ僕から視線を逸らす。
翔「すっ……好きな人にそんな失礼なこと出来ないじゃん?」
翔くんはさらに顔を赤くし、聞き取ることが難しいぐらいの小さな声でゴニョゴニョと言った。
「じゃあ…」
嬉しくなって、翔くんの体にしがみつく。
「ちゃんと段階踏めばいいじゃない?最初っからやったら?」
翔「最初って?」
「好きです、付き合ってください、って言うところから。」
しがみついたままの僕を静かに優しく自分の体から引き剥がし、俯き小さく咳払いをしてから、
翔くんは僕の目を見つめた。
翔「あっ…あの…初めて会った時からあなたのことずっと好きでした。だから…」
そして、深々と頭を下げ目の前に手を差し出した。
翔「僕と付き合ってください!!」
不器用だけど、真剣な翔くんの告白。
差し出された、僕より少し大きな手をしかと両手で握り返した。
「よろこんで。」
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