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笑い、滴り、装い、眠る。

第7章 雨の日は家にいて



新幹線が減速し始めた頃、ポツポツと窓に小さな雨粒が当たり始めて、



ホームに滑り込む頃には本降りの雨になっていた。



僕は、いつドアが開いてもいいように荷物を抱え昇降口で新幹線のドアが開くのを待っていた。



そして、ドアが開くとすぐダッシュでホームを駆け抜け、改札を抜ける。



が、そこで大事なことに気づく。



待ち合わせ場所、決めてなかった…。



がっくりと肩を落とし、肩で息をしていると、



いきなり後ろから肩を捕まれ、



さらには手から荷物を奪われ、その手をも捕まれる。



「えっ?あっ…ち、ちょっ…」



有無を言わさず、力づくで引っ張られてゆく、僕。



そんな、強引なことをするのは、



見覚えのある滑らかな肩の男の背中。



「翔くん、ちょっと待って!!」



痛い痛い、って騒いでも聞く耳持つ様子もなく、



翔くんの車の助手席に強引に押し込まれる。



荷物をトランクに押し込み、運転席に乗り込んできて、身を乗り出した、と思ったら、



息苦しくなるぐらいの力で抱きしめられた。



「あ……あの…」


翔「良かった…全然音沙汰ないから俺てっきり…」



耳元で聞こえた低い声に胸が詰まりそうになる。



「ごめんね…心配かけて。」



力強く抱きしめてくれた翔くんの背中に両腕を回した。



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