笑い、滴り、装い、眠る。
第8章 花梨―唯一の恋―
「あんのヤロ……あんなにガンガンと三回も……。」
壊れんだろ?と、毒づきながら、
時折、腰に襲い来る鈍い痛みに耐えながら壁づたいに歩いた。
この日、本当は翔に絵を教える日だったが、急用が出来たとかで会うことが出来きず、
准「そんなに不満なのか?俺とヤるだけ、ってのが?」
……そうじゃねぇけどさ。
初めは俺なんぞに絵を学びたいなんて、って思ったけど、
『俺、絵心全然ないから少しでもまともな絵が描けたらいいなあ……って……。』
ヘタクソながら、あんなに一生懸命な姿見たら、
誰だって絆されるだろ?
気づけば俺は翔の部屋の前にまで来ていた。
いけね。つい習慣で。
しばらくドアの前で立ち尽くしていた俺は、そのままその場を静かに立ち去った。
ばかデカい家から出てしばらく歩いたところで腰を擦っていると、
一台の車が止まった。
翔「大野さん!」
黒塗りの立派な車のウィンドウを開け翔が顔を覗かせていた。
「別によかったのに?」
翔「だって…ツラそうだったから。」
「………。」
コイツ……知ってんのかな?
俺と准一がどんな関係か?
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