笑い、滴り、装い、眠る。
第8章 花梨―唯一の恋―
翔「あの…。」
「ん?」
翔「大野さんて……その……兄貴と…」
「……友達だよ。」
世間一般ではセフレ、って言われてるみたいだけどな?
翔「ホントに?」
「ああ…」
翔「……良かった。」
「何で?」
翔「兄貴と付き合ってるのか、って思ってました。」
「冗談だろ?あんな格闘技バカ。」
翔「ぷっ。格闘技バカ…ウケる。」
「だって、そうだろが?あの腹筋、一体何処の誰と戦うつもりなんだよ?」
翔「腹筋?」
「あっ!!いや…ほ、本人が見たくねぇ、ってんのに無理矢理見せてきたんだよ?」
あ…アブね。
翔「そうなんだ?」
そう返した翔の目が、
笑っていないことに俺は気付いていなかった。
翔「あの…ところで、お姉さんの具合どうですか?」
「ん?ああ、ここんとこいいみたいなんだ。」
あれ?
俺に姉貴がいる、って話、コイツにしたっけ?
それとも、准一から聞いた?
翔「お姉さん、よくなるといいですね?」
「……そうだな?」
こんな立派な車から降りてくるところを見られて、近所で噂になっても後が面倒だから、と途中で下ろしてもらった。
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