笑い、滴り、装い、眠る。
第8章 花梨―唯一の恋―
何となく点と線が繋がりそうな気がして俺は、大学のカフェに准一を呼び出した。
准「話、って?」
久しぶりな俺からの呼び出しだっただけに、初めはご機嫌だった准一だったが、
「実はさ、聞きたいことがあって。お前の弟のことでさ?」
准「翔のこと?」
「お前ら、ホントに兄弟なの?」
准「な…何だよ?急に?」
「だって、濃い顔の兄貴と童顔の弟、って兄弟として成立すんのかな?と思ってさ?」
准「まあ…似てる、って言われたことはないけど?」
「どっちかがもらわれてきた、って可能性は…?」
触れちゃいけない領域に踏み込んでしまったんだろう。
准一は静かに目の前のコーヒーを飲み干すと静かに立ち上がった。
准「俺、帰るわ。」
「え?」
准「また、連絡する。」
滅多に見ない准一の素っ気ない態度に正直戸惑う。
と、同時に俺の思う点と線が繋がったような気がしてならなかった。
准一からの連絡が来なくなってから半月。
俺の足は自然と彼らの家に向かっていた。
呼鈴を押そうか押すまいか悩んでいると、ちょうど飼い犬の散歩をしていた翔が戻ってきた。
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