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笑い、滴り、装い、眠る。

第8章 花梨―唯一の恋―



「考えたよ、もちろん。でも、自分の子供でもない俺をここまでにしてくれたのに、そんなことまで頼めねぇよ。」


翔「そう……ですよね?」


ちっちゃく鼻を啜りながら翔は目元をごしごしと拭った。



「……分かったよ。もう准一とは会わないし、関係も解消する。」


翔「ほ、ホントに?」


「もう、ここにも来ないから。」


翔「え………な、何で?」

「だって、小遣いも貰えないのに、来た、って意味ねぇだろ?俺から絵を習いたい、ってのも口実なんだろが?」


翔「……やだ。」


「あ?」



今度は、ビー玉みたいな目からは大粒の涙がボロボロと零れ落ちた。



翔「せっかく再会できたのにそんなんヤだ!」



……よく泣くなァ。



目ん玉溶けてなくなるぞ?


「あのな、やだ…って、さっき、お前、俺が兄貴とヤるのはダメだ、って……。」


翔「俺が出します。」


「は?」



いきなり肩を掴まれ、正面を向かされる。



翔「お金が欲しいんなら、いくら欲しいのか言ってくれれば俺、出しますから。」


「そういう問題じゃ……」


翔「だから……」


「え………」



突然視界が塞がれ、力強い両腕の中に包まれる。



翔「もう来ないなんて…そんなこと言わないで。」


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