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笑い、滴り、装い、眠る。

第8章 花梨―唯一の恋―



ビックリして声もでない。



だってさ、コイツ、童顔のクセにスゴい体鍛えてて、



腕の筋肉なんか准一に負けず劣らずカチカチで。



もちろん、胸板なんかも、筋肉で出来たマットみたいにすげぇ弾力があって…



……筋肉、筋肉、って、筋肉フェチの女子か?俺は。



「あ…あの…翔?」



いい加減、息苦しくなって翔に解放してほしくて名前を呼んでみる。



けど、腕を離したら俺が逃げていくとでも思っているのか身じろぎ一つしない。



ヤベ。トイレ行きたくなってきた。



これは離してもらわねぇとマジでやばい。



「あ、あの…さ、翔。」


翔「……」


「ト……トイレ……」


翔「……」


「……行きたいんですけど。」



ピクリ、と微かに反応はしたものの解放してくれる様子はない。



「た…頼む…」



さすがに、スゴい力で抱きしめられてると圧迫感が半端なくて、



膝をモゾモゾ擦り合わせていたら急に腕の中から解放された。



翔「じゃあ、約束して?」


「へ?」


翔「また来てくれる、って。ずっとここに来てくれる、って?」



体を離し、俺の目を見つめながら言う。



あの、黒いビー玉みたいな大きな目でみつめながら



だから俺、言っちゃってた。



はい、って……。



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