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笑い、滴り、装い、眠る。

第8章 花梨―唯一の恋―



あれからというもの。



准一とは不純な関係を続けつつ、翔と直接連絡を取り合っては彼らとは個々に会っていた。



そうして連絡をとっていても予定が被ることは多々あって、そんな時は准一の都合を優先させていた。



そうでもしないと、准一に変に勘ぐられそうだし。



「ごめん。そろそろ時間だから。」


翔「分かった。早く行ってあげて?」



絵を教えるなんて、最早俺と翔の間では口実だった。



絵の道具は持参するものの、時間のほとんどはスイーツを食べながらの談笑。


若い男二人が密室で向かい合って甘いもん食いながら時間を潰している。



女子会かよ?ってツッコミたくなるけど、



こうして会いに来てくれるだけでも嬉しい、と、笑った顔が見たくて、俺としてもこうして会いに来る訳で。



でも、このあと、コイツの兄貴とヤることを考えたらえらい違いだ、とも思うけど……。



「また連絡する。」


翔「……うん。」



翔に背中を向けた時、時々だけど感じる視線。



振り返ると、初めこそ笑ってはいたけど、








泣きそうな顔をしていたことに俺は気付いていた。


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