笑い、滴り、装い、眠る。
第8章 花梨―唯一の恋―
「うるっせえ!!ジジイ扱いしやがって?」
風呂の湯をぶっかけてやる。
准「智。」
「あんだよ?」
准「翔のこと……頼むな?」
「は?何言ってんだ?」
准「血の繋がりがなくても十数年間、同じ屋根の下で生活してきた大事な大事な俺の弟だからな?」
「准一…」
准「泣かすなよ?」
「逆かも知んねぇだろ?」
准「お前の方が年上だろが?」
「関係ねぇだろ?恋愛は?」
准「恋愛は?」
「あっ……!!違っ……じゃなくてっ!」
准「着替え、置いとくから逆上せんなよ?」
ニヤニヤしながら出ていく准一に投げつけた洗面器が、空しく目の前で転がった。
恋愛……か。
俺、知らない間に翔のこと、そんな目で見てたのかな?
「……。」
はっ!//////
俺、ってば何想像して…。
急に恥ずかしくなって、風呂の湯を両手で掬いあげてはワザと大きな音を立てて顔を洗った。
バスルームから出ると、脱衣かごの中には真新しい白いフカフカのタオルと、まるで誂えたみたいにサイズがピッタリの下着と服がキレイに畳んで置かれてあった。
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