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笑い、滴り、装い、眠る。

第8章 花梨―唯一の恋―



翔「あっ…あの…」


「やっ…やっぱ、チーズケーキよりもこっちの方が甘いな?うん。」



我ながらキザだったか、と、気恥ずかしさから翔に背を向けた。



翔「こっちの方、って?どっち?」


「そっ…そりゃあ…」



少しムクれた顔つきの翔が俺の目の前に座った。



翔「大野さんの言うこっちの方、って……」



翔の顔がゆっくり近づいてきて、俺の唇に柔らかくて甘い匂いのするものが重なった。



翔「……こっちのことだよね?」



そう言って笑った翔の顔は、今まで感じたことのない、甘さと柔らかさで満ちていた。



「そう……こっち。」


翔「俺も。チーズケーキよりこっちの方が好き。」


「はあ?チーズケーキが基準なのかよ?」


翔「あっ、甘いものの中では、ってことだからっ!!」


「ふ、ふーん。そ、そう言うことなら…」



甘々なのか、そうじゃないのか分からないようなやり取りを繰り返しながら俺らは、



黙々とケーキを頬張った。



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