笑い、滴り、装い、眠る。
第8章 花梨―唯一の恋―
「そんなムクれんなよ?」
翔「だって…」
そのまま翔の体を引き寄せた。
「なあ…翔。」
翔「何?」
「これ、何て花?」
翔「花梨。」
「かりん?」
翔「うん。」
「これ、って確か実がなるだろ?食えんのかな?」
翔「うん。生じゃ食べられないけど?」
「いつ頃食えんのかな……?」
何気に隣を見ると、翔がニコニコしながら俺を見ていた。
「な……何だよ?」
翔「今も昔も変わんないなあ、?って、思ってさ?」
「は?」
翔「初めて会った時もそんなこと言ってた。」
「全然覚えてねぇ…」
翔「じゃ、俺のことチビすけ、って呼んだことも覚えてないでしょ?」
「うーん……」
翔「別にいいよ?無理に思い出さなくても?」
ホントは覚えてたけど。
てか、翔と再会してから色んなことを思い出すようになっていて、
あの時こんなことしたかも?とか、言ってたかも?とか。
隣で花梨の花を見上げる翔の横顔は相変わらず穏やかで、俺はついその顔に見入ってしまっていた。
翔「ねえ。花梨の花言葉、って知ってる?」
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