笑い、滴り、装い、眠る。
第8章 花梨―唯一の恋―
「……。」
翔「お姉さんからも話は聞いてる。それに兄貴とも話したし。」
「だからだよ?ガッカリしたろ?」
翔「……ううん。むしろ、支えてあげたい、って思った。」
「……アホか。」
翔「……かもしんない。特に、あなたのことに関しては?」
「お前、究極のアホだな?」
翔「そうだね?でも、大学に合格できたんだからそうでもないんじゃない?」
「お前の頭なら楽勝だろ?俺が入れた大学ぐらい?」
翔「そんなことないって?」
「あるだろが?」
幸せそうに笑う、窓ガラスに映った翔の顔。
気づかない体で俺は翔の手を握り返した。
翔「ねぇ、大野さん。」
「ん?」
翔「家に着くまでこうしていていい?」
「……勝手にしろ。」
翔「じゃあ、そうする。」
ずっと、窓ガラスを見ていた俺と笑顔の翔と目が合って俺は、
照れ隠しに目を逸らした。
「そっ…そう言えばあの絵……」
翔「あの絵?」
「さっき描いてたあの花の絵、ひでぇな?」
翔「そ、そう?」
「見てやるから家に寄ってけ。」
翔「うん!」
嬉しそうに寄っ掛かってくる翔の体をやんわり押し戻す。
「か、勘違いすんなよ?絵を教えてやるだけだからな?」
翔「解ってる♪」
……ホントかよ?
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