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笑い、滴り、装い、眠る。

第8章 花梨―唯一の恋―



あれから数ヵ月後。



俺と同じ大学に行き始めた翔は、何かにつけて俺の家にやって来ては週末必ず泊まっていく、という生活を始めた。



翔「ねぇねぇ、大野さん、起きて?」


「んー?何?」


翔「もう朝だよ?」


「だから?」


翔「お腹すいた。朝ごはん作ってよ?」


「あのなあ……俺はお前の母ちゃんじゃねぇんだよ!!んなもん、自分で作れよ?」


翔「えー?だって俺、料理できないんだもん。」

「いくらできないから、って、パンぐらい焼けるだろが?」


翔「それだけじゃ足りないよ。何か作って?」



シーツを頭から被り、翔からの「ごはん作って攻撃」をかわそうとするもムダな抵抗で、



「日曜日ぐらい、ゆっくり寝かせろ、って?」


翔「えー?やだやだ!今日は一緒に出かける約束したじゃん?」



約束した覚えねぇよ……



翔「今日一日の予定も組んじゃったし?」



ほら?と、無理やりシーツを捲られ、その予定表とやらを見せられる。



「だから俺は…」


翔「ほら、早く早く。起きて?」



結局、いつものように翔の朝メシを作らされるハメに。



でも、何だかんだで俺も…



「翔。」


翔「ん?」


「ここ。付いてるぞ?」



結局は、リスみたいに口一杯に頬張って食べる翔のことが可愛くて仕方ないワケで。



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