笑い、滴り、装い、眠る。
第8章 花梨―唯一の恋―
翔「うん。やっぱ、素材も大事だね?」
「……。」
翔はさっそく、買ってきたばかりのパジャマを広げて眺めたり、触り心地を確かめたりしていた。
翔「これからはお揃いのパジャマで一緒に寝れるんだね?」
翔は満面の笑みで、パジャマに頬擦りした。
あれ?でも、今日は日曜日だから泊まらないんじゃ…
翔「え?言ってなかったっけ?」
自分以外の家族はそれぞれ出払ってて、
准一も昔の友達んちに泊まるから家には誰もいないんだとさ?
翔「ふふっ。だから、今夜も大野さんと一緒♪」
いそいそとパジャマを着込みベッドに潜り込む。
が、むっくりと体を起こし膨れっ面で俺を見た。
翔「もー、大野さんも早く着替えて?」
一緒に寝ようよ?と、枕をぼんぼん叩いた。
「へいへい。」
着心地のいい、翔セレクトの色違いのパジャマを着て、モソモソと翔の隣に潜り込んだ。
待ってましたとばかりに、翔が俺の手を力一杯にと引き寄せ、キスしてきた。
翔「ね…ダメ?」
「そんなエロい目で見てもダメ。」
翔「ちえっ……。」
そう。翔と俺はカラダの関係はまだない。
翔「ハタチになるまでダメなんて…」
お酒なら我慢できるけど、と、翔はグスンと鼻を啜りながら俺に背を向けた。
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