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笑い、滴り、装い、眠る。

第16章 a little guy



みんなと楽しい時間を過ごしたあと自宅へと戻って勉強を再開した。



でも、初対面の二宮くんに僕の気持ちを見抜かれたことが頭から離れず、僕は櫻井さんの一挙手一投足にずっとドキドキしていた。



だから…



翔「聞いてる?」


「あっ!!ごめんなさい!!」


翔「どうしたの?何だか心ここにあらず、って感じだけど?」


「そっ…そんなこと…ない……です。」



息を吐いただけで心の声が漏れ伝わりそうな気がして、櫻井さんの視線を避けるみたいに俯き息を殺した。



翔「あの…さ、もしかして…さっき何か言われた?」


「えっ!?」


翔「ほらあの…途中からきた和也くん…だっけ?あの子に?」



『好きなんでしょ?あのお兄さんのこと?』



二宮くんの言葉が再び頭の中をぐるぐる回りだす。



どうしよう?勉強に集中出来ないや…。



苦しいぐらいにドキドキしている心臓に静まれ静まれと念じるも、そのまま口から飛び出してきそうで両手で口元を覆った。



翔「どうした?気分悪いの?」


「すいませ…ん。」



心配そうに僕の肩を抱く櫻井さんに対する申し訳なさから僕は……



翔「今日はもう、ここまでにしようか?」


「は……い。」



ぼろぼろと泣き出してしまった。



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