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笑い、滴り、装い、眠る。

第16章 a little guy



夏休みが終わってから俺は大野くんとは会っていない。



松本の言う通り『会づらい』のだ。



目の前の問題を先送りにし、気づかないフリをしているのは俺の方だった。



彼はどうしているのだろう?



夏休みの課題を終え、ほっとしている傍ら、どこか寂しげだった横顔を思い出す。



潤「今度の日曜、運動会があるんだってさ?」


「へぇ…」


潤「この間、和んちに行ったらちょうどマー坊たちが遊びに来ててさ?」



マー坊「たち」?



大野くんの顔が頭を過る。



「そ、そう?」


潤「一緒に行かね?」



無理にとは言わないけど?と、意味ありげに松本はニヤニヤ笑った。



潤「何か、一段と可愛くなってたなあ、あの子?」



まさか……とは思うけど、松本のヤツ、狙ってんのか?



しかも、小学生を?



……とか、考える辺り、俺もあんまり変わらないのかも……?



なんて、いろんなことを考えてると、松本の顔が間近にあることに気づき、飛び上がらんばかりに驚いた。



潤「な、何だよ?いきなりでけぇ声出すなよ?」


「バカやろ!!いきなり目の前に濃ゆい顔があったら驚くだろ!!」


潤「ああ?何でもいいけど、行くだろ?」


「分かったよ!行くよ?」



気分転換になるだろうし?



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