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笑い、滴り、装い、眠る。

第16章 a little guy



まさか、呼び止められるなんて、



思ってもなかったからメチャクチャ驚いたけど、



それより何より、久しぶりに会ったことでナゼか緊張していた俺は、頭ん中が真っ白になった。



すぐに冷静さを取り戻すことはできたけど。



智「実はお願いがあって、その……」



ごくりと息をのみ、真剣な眼差しを向けられる。



智「また……家庭教師をしてほしくって?勝手だとは思うんですけど……」


「それは……だって君が…」


智「あの時はごめんなさい!!僕、ちょっと不安定になってて…」


「それは別に俺じゃなくても?」


智「いえ…僕、櫻井さんがいいんです!!」



真剣な目で、真っ直ぐに見つめられて、



俺は彼のそんな眼差しに吸い寄せられるように目を逸らせなくなった。



智「じゃあ、僕がこのかけっこで1位になったら…」


「いや…その……。」


智「1位になったら考えてくれませんか?」


潤「勿論だよ、大野くん?そうでなくても二つ返事だよなあ?櫻井?」


「こ、こら、お前、勝手に…」



どこから聞いてたのか松本が割り込んできた。



潤「じゃ、何?断るのか?だったら俺が…」


「……分かった、分かったよ!!」



大野くんは、蕾が綻ぶように笑うと、約束だよ?と元気よくスタート地点へ駆けていった。


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