笑い、滴り、装い、眠る。
第16章 a little guy
どうせだったら、ゴール近くで待ってたほうがいいだろう、と、松本が言うので二人で移動した。
スタート地点へと目線を向ける。
遠目からでも大野くんは緊張しているのが分かった。
潤「やっぱ…可愛いなあ。」
隣にいた松本が不意に呟く。
「まだ小学生だからな?」
事実、来年から中学生と言えどまだ小学生。
ふとした仕草などに幼さが滲み出ているのは否めない。
俺はそんな意味合いで口にしたのだろう、って感じで松本に言った。
潤「……そうだな?」
そう言って松本は鼻で笑った。
そんな態度に苛つく間もなくレースが始まる。
大野くんがいる組は四組目。
松本の従兄弟の和也くんもエントリーしていたが、彼は最終組で走ることになっていた。
松本によると、和也くんは足が早いらしい。
毎年、リレーの選手に選ばれるぐらいだそうだ。
たぶん、無理だろうな?
1位をとるなんて。
でももし、まかり間違って優勝したら?
それはそれでいい。引き受ける口実になるから。
そうでなくとも俺は……
引き受けるつもりでいたから。
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