テキストサイズ

笑い、滴り、装い、眠る。

第16章 a little guy



それからというもの、



ふとした時に大野くんを目で追っている自分に気づく。



そのたびに我に返り、己に言い聞かせる。



自分は松本とは違う、と。



智「……さん?櫻井さん?」


「えっ?な、何?」



純真無垢な目で見つめる大野くんと間近に目があってテンパってしまう。



智「問題できたんですけど?」


「あっ、ああごめん。見せてくれる?」



慌てて問題集に目を通したけど、



隣で俺の横顔をじっと見つめている視線を感じてナゼかどきどきしてしまった。



な……何だ?どうしたんだ、俺?



何でこんなに緊張してるんだ?



赤ペンを持つ手が震え、丸が歪んだ。



俺は一旦、赤ペンを脇に置き手をブラブラさせてからまた再開した。



どうにか採点し終わり、大野くんに向き直った。



「はい、よくガンバったね。100点だよ?」


智「ホント?」



嬉しそうにする顔が仔犬みたいに可愛くて、思わず大野くんの頭を撫でてしまった。



はっ!?し、しまった!!俺としたことが…?



いつもみたいに、フツーに頭を撫でてしまった。



思わず手を引っ込め、大野くんを見ると、



大野くんは真っ赤になって俯いていた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ