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笑い、滴り、装い、眠る。

第16章 a little guy



「え?」


潤「お前は家庭教師として行くんだろ?俺はあの子に告白しに行くんだから。」



だからいいだろ?と、馴れ馴れしく肩を抱いてくる。



「……ダメだ。」



そう冷たく言い放ち、俺は松本の腕を叩き落とした。



潤「……何でだよ?」


「……何でも。」


潤「は……答えになってないんだけど?」


「……勉強の邪魔だからだよ?」


潤「へーぇ、勉強の邪魔、ねぇ。」



松本が持ち前の目力で俺を睨み返す。



初見のヤンキーだったら逃げ出すかもしれないぐらいの目力で、だ。



潤「……分かったよ。」


「えっ?」


潤「今日のところは引き下がるけど、俺、マジだから。」


「マジ、って…相手は男だろ?」


潤「そういうお前だって意識しまくってんだろ?あの子のこと。そういう対象として?」



途端にカアーッと全身が熱くなるのを感じた。



「ちっ…違っ……!」


潤「違うのか?だったら俺が一緒に行っても…」


「それとこれとは…」


潤「……一緒だ、って?いい加減、素直になれよ?」


「だから……っ!!」



こんな押し問答をしていたせいで俺は電車を乗り過ごしてしまっていた。


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